心配している? 
 へえ、どの口が言うのかしら? 
 ついこの間、2年も同棲していた私をこっぴどく振ったのはどこのどなただったかしら??
 別れた翌日には、後輩と手を繫いで仲良く2人で飲みに行くのを目撃されたのは誰だったかしら? 
 私達は結婚間近だと思われていた。
 私が会社中の人から可哀想なものを見る目で見られるような状況を作ったのは誰だったかしら?
 全部、全部、誰のせい? 
 こんな小さな会社で、私がどんなに肩身の狭い思いだったか!

「はあ? 三国さんはそういう上から目線なところを治した方がいいですよ」
「なんだよ、その言い方! お前はそういうところが駄目なんだよ!」

 売り言葉に買い言葉。
 言い争いを始めた私達をポカンとした顔で見上げていた課長に私はぐいっと向き合った。

「課長、とにかく私は辞めます。確か辞表は2週間前までに提出でしたよね?明日からは有給消化ということで。私、全然休んでないんであと30日以上は残ってますから」
「はあ……」

 それだけ言うと私は課長の前に置いてあった辞表をもう一度むんずと掴み、バシンと机の上に叩きつけた。課長は突如として始まった目の前の光景に、まさに目が点状態。開いた口が塞がらないご様子だ。
 「美雪!」と叫ぶ英二の声が後ろから聞こえたけど、思いっきり無視してやった。ざまーみろ。