意識的に選択をして道を選んだ事もあれば、無意識のうちに選択をして選んだ道もあるだろう。


例えば、大学に進学すると決めたのは、私が意識的に選択した大きな出来事だ。


逆に無意識のうちに選択したものは何だ?と考えても、それはすぐに出てこなかった。


無意識なのだから、当たり前か。


「私は―――」



いつに戻って、選択をやり直そうか。



「人生最初からやり直したいわ」

「そ、れ、な!」



ハハハッと大きな笑いが起こるも、賑やかなファミレスではそんなの雑音の一つと捉えられ、誰も私たちを気にする人はいない。


そこから話題は最近のお互いの趣味の話だったり、大学の話だったり、他愛のない会話をした。


***


「また来月ね!」



そう言ってファミレスを出て、その場ですずと別れた。


すずはこの後バイトがあるというので、そのままバイト先に向かっていった。


私は、特に何も予定がないので、そのまま歩いてすぐの駅に向かう。


肌に触れる風は、まだ少しだけ冷たさを感じた。


改札をくぐり、中央線下りのホームに立つと、ちょうど電車がホームにはいってきた。


オレンジ色に塗装された電車が、目の前でゆっくりと止まり、音を立てて扉を開けた。


スマートフォンにイヤホンを繋げ、お気に入りの音楽を流すと、電車が動き始める。


ゆっくりと流れていく景色を見ながら、ふと、沙也加の言葉を思い出した。