「パラレルワールド?」

「そう!菜々はパラレルワールドってあると思う?」


そういえば二年前、それを題材にした映画があったっけなぁ、なんてぼんやりと思い出す。


どんな話だったっけ?と思い出しながら、目の前に置かれているマカロニグラタンの最後の一口を口に運ぶ。

料理が来てから結構時間が経っていたので、猫舌の私でもすぐに飲み込むことが出来た。


「あ、すいません追加注文お願いできますか?」


私がすぐに答えを出さないので、先ほどから忙しなく動き回る店員さんを呼び止め、食後のデザートを注文するすず。


ここのファミレスでよく食事をする私たちにとって食後のデザートを注文する事は、夜寝る前に歯を磨くのと同じぐらい、当たり前の事となっていた。


私が何も言わずとも、美奈は私が毎回頼むレアチーズケーキを一緒に注文してくれた。


グラタンを飲み込み、すずに「ありがとう」と一言伝える。


昼時のファミレスは様々な人たちで賑わっていた。子連れの主婦、昼休みのサラリーマン、テスト期間なのだろうか、高校生の姿もちらほら。


そんな店内の片隅に向かい合うように座る私たち。



黒のショートカットがトレンドマークと言っても過言ではないだろう。


外はねがよく似合う小顔に、大きく存在感のある目。


少し切れ長のその目が、さらに彼女の綺麗さを引き立てている。


中学の頃、すずは男の子に人気だった。


卒業してから、上京するまで会う事がなかったが、その美貌はあの頃に比べ更に磨かれていた。


私はまだ口をつけていなかったコップを手に取り、喉に潤いを与えた。



「で、どう思うの?」