脇腹は弱点なのか、遠野君の細身の体がビクッと伸びる。中々笑える反応だったので、何度か繰り返してみた。
「俺で暇つぶししないでくださいよ……そんなにあの二人見てるの辛いんですか?」
「違う。これは遠野君に対しての嫌がらせ」
「……」
式の最中にコソコソ話す私達。
普通なら迷惑そうな視線があってもおかしくない。
でも、幸い? な事にこの教会はとても大きくて立派。席には大分余裕があったので、私と遠野君は一番後ろの人とは一列あけて座っている。
広い空間は囁き声を上手く中和してくれているらしく、内緒話は周りに聞こえてない様だった。
「やっぱ、出ない方が良かったんじゃないですか?」
「二人に式から出て欲しいって頼まれたんだもん。嫌とは言えないでしょ」
「……あぁ、それで」
「言っとくけど、嫌々来たんじゃないから。ちゃんとお祝いしたくて来たんだからね、私」