なんて会話をしながら、盛り上がる若い女性たちを眺め。
自分もあんな風にはしゃいでた時があったっけ。
不思議……。一年位前の事なのに、何年も前の事みたい。
「先輩、目が死んでます。おめでたい席なんですから、もう少し何とかして下さい」
「目が死んでるって……他に表現はない訳?」
「だから無理なんかしなきゃいいのに……」
私の言葉を無視しつつ、遠野君はブツブツ何か呟いている。
彼の視線は、盛り上がる輪と新郎に向いていた。
「馬鹿ですよね、本当」
溜息混じりの言葉に、またかと彼を見上げる。
今日はこれで何度目だ。先輩に向かってバカバカと――失礼な。
私の弱みを握ったと思って調子に乗ってる? そういえば、口止め料とか何とか言ってたっけ。
「今のは先輩の事じゃなくて、トシヤ先輩の事です」
「は?」
「だってそうでしょ? せっかくのチャンスを見す見す逃す様な事して。結局掴んだのは小さな幸せの方なんですから」