もちろん、泣く方が楽になれるのは私にだって想像出来た。

遠野君が言う様に、気持ちにちゃんと向き合って素直に吐き出した方が、終わりももっとシンプルだろう。

泣いて。羨んで。後悔して、また泣いて。

そうしたら、くすぶる気持ちを抱える事もきっと無い。

でも、そこを素直に出来ないのが私だったりする……。

とうとう、賛美歌は歌わずじまい、式は終わりへと繋がる。

あんなに初めは堂々と顔を上げて座っていられたのに、一粒弱気を零しただけで、私はその後顔を上げる事が出来なくなってしまった。

うっかり涙を見せてしまった恥ずかしさもあり、隣の遠野君の顔も見れない。ちょっかいもお喋りもしなくなった私に、遠野君も何も言わず黙ったままだ。

牧師様の祝祷の最中チラリと彼を窺うと、遠野君は退屈そうな表情を浮かべ、人差し指でネクタイを緩めていた。