高い高い天井。
大きなステンドグラス、白い十字架。
ざわつく人々は、今か今かと式の始まりを待つ。
笑顔とデジカメがやたら多いその中で、私は十字架だけを見ていた。
神様すみません。
私、今日は讃美歌、歌いません。
「先輩って、バカでしょ?」
沢山の参列者が座る長椅子。
その一番後ろの席、一番バージンロードから遠い場所に座っていた私の横から、聞き捨てならない言葉が飛んできた。
声の主へ、私の手は口よりも早く反応する。
持っていたバッグを斜め上へ振った。
「痛ッ! 先輩それ、ある意味凶器……」
「うるさい。失礼な事言う、遠野君が悪い」
「……事実を率直に言っただけです、俺は」
頬をさすりながら、会社の後輩――遠野君はニヤリと笑った。
若干頬が赤くなっているところを見ると、私のバッグ攻撃(キラキラスパンコール弾)は中々の威力らしい。
擦る様に当てたら、更にダメージは倍増するだろう……よし、次からはそうしよう。