終わったな、と痛感した。

 馬鹿笑いをした日々が記憶に新しい。

 伸ばした手でどうにか掴めないかと躍起になったけれど、手遅れだった気がする。
 藻搔いた手が虚しく空を裂いて思った。

 走馬灯は存在した。記憶のフィルムが耳の片方から容易く解けて散らばったとき、大切なのはいつも取るに足らないものばかりだった。

 ありがとうもごめんもさよならとも違う、有り触れた大層な御託。
 耳を塞ぎたくなる世界で次に目を覚ました時、せめてどうか【彼女】には優しくあればいいと願う。