「力になろうか」 まただ。 呼び止めて振り向いた顔が、なんとも言えない表情をした。壊れそうで頼りなくて、それでもちゃんと知ってたんだ。彼女が強くないことを。 退院するまで、盲腸の手術日も合わせてあと5日。 たったそれだけしか、俺には時間がないけれど。 「…乗った」 斜陽に黒髪を翻し、彼女がそう不敵に笑うから。 俺とミオは、夜を迎え撃つべく手を組んだ。