港の近くにはたくさん商業施設があった。

 いろんなレストランやファーストフード店があって、どこも海が見えるように全面ガラス張りになっている。

 平日だけど、たくさんの大人たちがずらりと窓際の席を占領して、海を眺めながら談笑しているのが外からも見えた。

 男女2人組を見ると、カップルかもしれないと僕は想像してみる。

 友達同士の可能性もあるけれど、でもカップルだろうと想像した方が、ちょっと楽しい。ドキドキする。

 商業施設の傍らでは、大きな赤い観覧車が、ゆっくりのっそり回っていた。あの観覧車に乗ったら、水平線がとても綺麗に見れるだろう。

 僕は観覧車のゴンドラから、沈む夕日を見ようと決意した。

 でもいくら何でもまだ日没までには時間がある。僕は商業施設をぐるりと見て回ることにする。