かつて、僕は天才と呼ばれていた。
『舞原《まいはら》くん、おめでとう。あなたの絵が、また入賞したそうよ』
その言葉は僕にとっては日常で、当然のものだった。
僕の名は、舞原 百音《もね》。
由来はもちろんあのクロード・モネだ。
絵画鑑賞が趣味の僕の父親が、最も愛する画家からつけた名前。
父は観る方専門で描くのはからきしだったが、もしかしたら息子の僕には絵心をつけてほしいと思っていたのかもしれない。
名前にあやかるかのように、幼い頃から僕は絵を描くことを好み、実力をつけていった。
幼稚園のときは絵画展の常連。小学校に進学するとコンクールに次々入賞し、僕の名前は有名なものに。
『小さなクロード・モネ』なんて、とんでもない呼び名がついたりしたものだった。
絵の天才、あのとき周りの大人はみんな僕をそう称した。
父や母ですらそうだった。
なにより……僕自身がそう思っていた。
自分には絵の才能があると。
その才能と共にずっと生きていくのだと。
ーーーああ、なんて。
なんて愚かな子供だったのだろうか。
『舞原《まいはら》くん、おめでとう。あなたの絵が、また入賞したそうよ』
その言葉は僕にとっては日常で、当然のものだった。
僕の名は、舞原 百音《もね》。
由来はもちろんあのクロード・モネだ。
絵画鑑賞が趣味の僕の父親が、最も愛する画家からつけた名前。
父は観る方専門で描くのはからきしだったが、もしかしたら息子の僕には絵心をつけてほしいと思っていたのかもしれない。
名前にあやかるかのように、幼い頃から僕は絵を描くことを好み、実力をつけていった。
幼稚園のときは絵画展の常連。小学校に進学するとコンクールに次々入賞し、僕の名前は有名なものに。
『小さなクロード・モネ』なんて、とんでもない呼び名がついたりしたものだった。
絵の天才、あのとき周りの大人はみんな僕をそう称した。
父や母ですらそうだった。
なにより……僕自身がそう思っていた。
自分には絵の才能があると。
その才能と共にずっと生きていくのだと。
ーーーああ、なんて。
なんて愚かな子供だったのだろうか。