「え、じゃぁ、実咲や塔子も陰陽師だったりするの?!」
そういえば塔子は霊感が強かった。実咲も勘が鋭い。
もしかして私が知らないだけで、2人だけじゃない、クラスのみんなもそうなのではと思えてきた。
「んー、僕は誰がそうだってのは知らないんだ。
それを細かく知ってるのは、学園の上層部のごく一部だけ。
京都の本部には知らせてあるなんて話しも耳にしたんだけど、僕の派閥は知らされてないみたい。
だからこそ僕が直に見て、良さそうな人をピックアップするために来たんだし。
さっきも言ったけど、本人がその血筋って知らない人も沢山いるんだよ?
今はそういう良い血筋や能力の高い人が減ってきてるから、京都と東京で優秀な人材の奪い合いみたいな状況起きてるし。
まぁこの頃は陰陽師や霊力に関係なく、学園側も人を取り出した、なんて話しも聞いたけど」
そんなにもこの学校がそういう人達であふれていたと知って、誰も彼もがそういう風に見えてしまいそうだった。
もしも2人がそうで内緒にしていたのなら、私はどうしたら良いのだろう。
「まぁ、それは置いておいて。
そして、これが僕としては一番嫌な学園の目的だね」
そういうと私を見た。
「そして三つ目。
それは、巫女候補を探しやすくするため」
私は目を見開いて隣りに居る加茂君を見る。
彼は私の方を少し見た後に前を向くと、ずっと奥にある真っ黒になった窓をただ見つめてるようだった。
「巫女は長(おさ)自身がが見つけるもの。
だから早めに、それでその娘が汚れない前に見つけられるよう、可能性の高い者を早くから集めるためにこの学園はある。
教師とかやってれば、自動的に毎年新しい女子が入ってくるわけで。
ほんと、えげつないシステムだよねぇ。
長はそれを知ってるからこの学園に勤めることを拒否出来ない環境にいるし。
巫女になるのは名誉と思ってる人達も多いから、積極的に入学させたり、自分から入学したりする。
本当の巫女の意味なんて、知らない人の方が大多数だからね。
ほんと、東京ってよくわからないよ」
と加茂君は肩をすくめた。
私は呆然としていた。
この学園が、自分の通ってる学校が、そんなにも普通じゃなかったなんて。
それも巫女がこんなとこに出てくるなんて思いもしなかった。
「ゆいちゃん、大丈夫?」
「うん・・・・・・。ちょっと驚いてる」
「そうだよねぇ」
藤原は自分で望んで教師になっていなかったのかもしれない。
あんなに生徒を思ってやっているのに、それが全て仕方なくしているとしたら。
巫女のせいで両親はバラバラになり、巫女を捜すために望んでもいない教師になっていたのならどんなに残酷なことなのだろう。