その後、原宿に移動し、人で溢れる竹下通りを2人で歩き、パンケーキのお店に入り、2人でひたすら馬鹿な事を話して盛り上がった。

加茂君は、歩くペースを合わせてくれたり、お店に入れば椅子を引いてくれたりと、とても気を使ってくれた。


JR山手線に乗って池袋に移動し、人混みの中サンシャイン60に着くと、地下でチケットを購入し、専用のエレベーターに乗り込む。

綺麗な星空が降り注ぐようなエレベーターで一気に60階まであがり、耳が変になりながらもあっという間に展望フロアについた。


「良かった。間に合った」


加茂君はそういうと、繋いでいる手を引っ張り大きな窓に向かう。


「わぁ・・・・・・」


目の前に広がるのは綺麗な夕焼けの景色。

高い場所にあるおかげで、ずっと先まで見通せる。

周囲を見れば既に多くの人がオレンジ色に光るガラスの前で、沈む夕陽を楽しんでいた。


「京都って建築する建物に高さ制限があるから、こんな高いビルってないんだ」


夕陽を見ながら、横にいる加茂君がぽつりと呟いた。

栗色の髪の毛が夕陽に当たって、キラキラとしている。

京都には中学の修学旅行で行ったけれど、観光地の思い出はあっても、あまりビルの高さなんて意識したことは無かった。


「ちなみにここ、昔は処刑場だったって知ってる?」


「え、そうなの?」


思わず足下見る。

そんな私を見て加茂君が、ぷっと吹き出した。


「もしかしてここに霊がうじゃうじゃいるの?」


「そんな事言ったら京都なんて、今の住民より霊の方が多いと思うけど?」


私の興味本位の質問に苦笑いで答えられ、確かにそうか、と納得してしまった。

段々と濃いオレンジ色と灰色と黒のグラデーションに空が染まっていき、眼下に広がるビルの明かりが美しく光りだしてきた。

周囲を見れば、手を繋いだり、腕を組んだりするカップルだらけ。

良いなぁ、ほんとカップルばっかりだなぁと思いつつ、自分が加茂君と手を繋いだままだということに今更ながらに気がついた。

考えて見ればどっからどうみても私と加茂くんだって、カップルに見られていたのではないだろうか。

急に恥ずかしくなってその手を離そうとしたらぎゅっと強く握られ、思わず横を見ると、加茂君がにっこりと私に笑いかけた。