「な、何でそんな事言うのよ!」


「好きなんだろ?バレバレだぞ?」


「えっ嘘!?葛木先生も気がついてるの?!」


「今、自分で認めた事わかってるか?」


にやっと笑われ自分がとんでもないことを口走った事に、思わず口に手を当てた。


「だから、デートのお膳立てしてやるって」


まだにやにやと笑う藤原を見て恥ずかしさがこみ上げる。
でも、なんで突然そんなことを。


「何でそんなこと突然言うのよ」


私はいぶかしそうに見た。
まだ顔は熱いけど急になんでそんな事言い出すのかおかしい。


「お前には世話になってるし、巻き込んでしまったからな。
せめてなんかできる事は無いかと俺なりの気遣いだよ」


笑いながらそういう藤原に、何だか私の頭は急に冷静になってきた。


「嘘だよね、それ」


「何だよ、せっかくのチャンスだぞ?」


「陰陽師の世界に巻き込みたくなかったくせに、
なんで陰陽師の葛木先生とデートなんてさせるのよ」


「あいつの家はそれなりだし、
結婚するのもかなり良い相手だと思うしな」


結婚、思わず私はびっくりした。
なんでデートのお膳立てから結婚なんて話しになるのか。


「それ、上の立場として藤原が命令したら、
葛木先生断れないじゃない」


「そういうことはしない」


真面目な顔で言われて私は途惑った。
急なこの提案になんの意味があるのか。


「もしかして、
藤原より葛木先生との方が親しいとかそういう風に見せるため?」


私の言葉に藤原は少し黙った後、


「本当にお前は鋭いな」


ふう、と藤原は少し俯いて息を吐いた。


「あぁ、そうだ。
お前が葛木と親しければ、
京都のやつらも少しはお前へのマークを緩めるかもしれない」


「でも・・・・・・」


「まずはデートでもしてみろよ。
後はお前達が決めれば良いことだし」


「なんか葛木先生の意志を無視してるようで嫌だよ」


本当は葛木先生とデートがしてみたい。
でもこんな形でするなんておかしい気がする。


「あのな、あいつはお前を利用したんだぞ?
何も知らせずに。
それなのにそんなに遠慮してどうするんだよ」


「それなら藤原だって何も言わずに私を利用したじゃん」


「なんかやばそうな言い方するなよ。
俺はそこまで巻き込むつもりは無かったし」


段々ぼそっと言っている藤原を私は睨んだ。