月曜日の巫女






「今日転校生が来るんだって!」

月曜日の朝教室に入ると、その話題で教室は盛り上がっていた。
「おはよう。転校生来るの?」
輪になってうきうきと話す女子達に私は声をかけた。

「さっき日直が職員室行ったら先生から言われたんだって!」
「男子って話しだよ!」
「イケメンかなぁ!」

そうやって盛り上がる女子達とは正反対に、
男子達は、何だよ、男かよ、
と肩を落としている。
こんな中途半端な時期に転校なんて大変だろうなぁなんて思いつつ、
やはり昼休みに藤原が来てくれるのか、
来なかったら直接行ってやろうという事のほうが私の心を占めていた。
それにまた体調が悪いのを我慢しているのならそれこそ心配だ。
きっと私が必要になってるはず。
藤原が消耗していることを喜んでしまっている自分を、
私はあまり悪いことのようには思えていなかった。


「加茂照清(かも てるきよ)君だ。
本当はみんなと同じように4月からここに通うはずだったが、
家の都合で今日になった」
授業の始まる前に、
担任が転校生を連れてきて話し出した。

「加茂照清です・・・・・・。
よろしくお願いします・・・・・・」

少し癖のある長めの前髪、大きな黒縁眼鏡、
猫背でいまいち表情が見えない。
その上緊張のせいかぼそぼそと名乗った彼に、
女子達のテンションが一気に下がっていくのがわかった。
少し身体を丸めてあてがわれた席に着く彼を見る。
きちんとうちの制服を着ている。
彼も通知をもらった側だとしたら、
彼のようないかにも平凡な生徒が選ばれた事に少しホッとしてしまった。
いや、でも実は凄く頭が良さそうにも思える。
そんな馬鹿な事をぼんやり考えながら授業が始まった。




やはり昼休みに藤原は来なかった。
私は授業後の掃除を終え、
今度こそ逃すものかと英語教師室に向かっていた。
その途中できょろきょろとしている加茂君を見つけた。


「どうしたの?」


私は彼に後ろから声をかけた。
びくりと身体を丸めたまま私の方を彼は振り向いた。
すぐ目の前で向き合って気がついた。
あれ?身長私と同じくらいだと思ったけど、
思ったより高そうだ。
声をかけた私の存在に、
彼は途惑っているようだった。


「私、同じクラスの東雲。
何か探しているの?」


そういうと初めて彼が私と目線を合わせたようだった。
しかしすぐに反らされた。


「その、職員室を・・・・・・」


「職員室はこの階じゃないよ。
案内するから一緒に行こうよ」

私が笑いかけると彼はまたすぐ目を反らし、
ありがとうございます、
と小さな声で返事をした。

職員室に行くまでそんなに距離も無かったが、
少しだけ彼と話しをした。
直前まで通っていた学校は京都にある学校で、
生まれも京都だという事。
中学の修学旅行で行ったことがあるよ、
としか私は返せなかったけれど。