月曜日の巫女



「最初に私を頼ったのは藤原自身だよね?
それで中途半端に事情を教えておいて今度は突き放すの?

そりゃぁ私は子供だけど、藤原達に勝手に記憶をどうこうされるのは納得いかないよ」

藤原はじっと聞いていたが、少し俯いたあと、身体を後ろに引いて私の手から逃げた。

「・・・・・・そうだ。

最初にお前に甘えたのは俺だ。
巻き込んでしまった原因も俺だ。
誠太郎をこんな行動に走らせた原因も俺だ。

わかってる。
でもな、まだ戻れるんだ。
お前には普通の高校生で、何も知らずに生きる道があるんだ。

どうかわかってくれ」

絞り出すように、苦しそうな顔で藤原は話す。
私に目線を合わせないまま。

「知っちゃうと私はどうなるの?」

「今までの高校生活のままとはいかなくなるだろう」

「まさかどっかに幽閉されるとか?」

「そうしようと過激な行動に出る者が居ないとは言い切れない」

幽閉?秘密を知った以上ということだろうか。
私は予想以上の答えに言葉を失った。 


「そんな事はさせません。
東雲さんの身は私が守ります」

さっきまで静かに聞いていた葛木先生が割って入った。

「そういう問題じゃ無いだろう!」

「彼女が貴方様の唯一無二の存在である可能性がある以上、そう簡単に手放すのは反対です」

「唯一無二?」

「えぇ、貴女は光明様にとっての巫女である可能性があるんです」

「誠太郎!」

葛木先生の言葉に藤原は立ち上がって声をあげた。

「巫女?」

私は向けられたこともない言葉に思わず聞き返した。

「陰陽師の長を真の意味で助けられる女性の事を巫女と呼ぶのです」

「それ以上話すな!」

藤原が葛木先生のジャケットの襟元を勢いよく掴んだ。

「藤原!落ち着いて!」

「いいか東雲それ以上聞くな。

ドアを閉めろ」

「自分自身の巫女に出逢えるかどうかで長の力と、いつまで長として務められるのか劇的に変わるんです。
唯一無二である大切な存在なのです」

ジャケットの襟を両手で掴まれたまま、葛木先生は私の方に首を傾けて私に向かって話している。

藤原はその手を乱暴にを離したかと思うと、すぐに私のそばに来てドアを閉めようとした。

「そんなに消したければ命令なんかしないで藤原が自分で消せばいいじゃない」

私は思わず藤原を睨みながら言った。

その言葉に藤原が一瞬怯んだのがわかった。