月曜日の巫女





「東雲さん?!もしかしてまた体調が?」


急に慌てたような葛木先生の声に、何故か私はほっとした。
その声はいつも学校で聞いていたものと同じだったから。

私は少しその場でしゃがんでいたが、ゆっくり立ち上がると目を閉じた。
そして両手を一杯に広げてゆっくり深呼吸する。
緊張した時はこれが一番だ。

何度か深呼吸を繰り返し、静かに目を開ける。

そこに見えるのは黒いものにおされる光。


「・・・・・・あの黒いのが広がるとまずいんですよね?」


「はい」


「それを押さえるのに藤原の力が必要で、それを私が助力出来るんですね」


「・・・・・・・はい」


「それって、痛かったり、怖かったりします?」


「えっ?」


私はいたって大まじめに聞いた。
悪いけど痛いとか怖いとかならやっぱり嫌だ。
少しくらいなら我慢しなくもないけど。
それに生贄にしたいことか言われても困る。

葛木先生は驚いた顔をしていたが、急にぷっと吹き出した。
私は思わず、酷い、と頬を膨らませた。


「すみません。
そうですね、別に痛いとかはありませんが、君の霊力を使う分疲れるかとは思います。
もちろん生贄なんて思っていないですから」


あ、考えていたことが見抜かれていた。


「また私倒れるんですか?」


「そんな事はさせません」


まっすぐな目で言い切られた。


「わかりました。
どうすれば良いんですか?」


私はため息混じりに返事をした。
おそらく時間が延びれば延びるほど邪気を祓うのは大変になることぐらいはわかる。


「ありがとうございます。
貴女には、単に光明に頑張って欲しいと祈ってくれたらそれで良いのです」


「えっ?他には?」


「それだけです」


私はぽかんとした。
こう、もっと何か大変な事をするのかと思っていた。
そんなので良いのだろうか。


「後で説明しますから。
まずはお願い出来るでしょうか?」


「わかりました。
後できちんと、沢山、説明して下さいね?」


私のたたみ掛けるような念押しに、先生は笑った。