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ピッピッと機械音が聞こえる。また自室に戻った。
病室周りがバタバタと慌ただしい。
両親と姉は私の枕元で肩を寄せ合い最後の別れを惜しんでいるようだ。
私の声は決して届かないが、大丈夫だよ、と三人に話し掛ける。そして、付け足すように、私ね、キスしちゃった、と告白する。

「見ろ。透子の顔、何て穏やかで綺麗なんだ」
「本当、微笑んでいるみたい」

姉の言葉に母の瞳から涙が溢れ出す。

「お母さん、笑顔で送り出そうって約束したじゃない」
「分かっているけど……」

そういう姉もポロポロ涙を零している。
あっ、光だ。目が眩むほど眩しい。
ん? あれは何? 光の中に何か見える。
目を凝らして見ると……未来?

お姉ちゃんが赤ちゃんを抱いている。
そうか、姉が体調を崩したのは妊娠の予兆だったんだ。
赤ちゃんを囲んで父も母も笑顔だ。
もしかしたら、あの赤ちゃんは私かもしれない。いや、きっとそうだ。

あっ、今度は葵家。
賑やかで楽しそうだ。良かった。妹は拒絶反応も無く元気そうだ。
葵宇宙はモテモテだけど相変わらず女性に無関心みたいだ。

でも私には見える。葵宇宙は生まれかわった私をまた好きになる。そして、私もまた葵宇宙を好きになる。

葵宇宙が十七も離れた花嫁を貰うのはもっとずっと先だけど……待っていてね……。