「そっ、それにしても奇跡ですね。これだけピッタリ合うドナーが綺麗な内蔵のまま同じ病院に運ばれてくるって」

彼はその場を誤魔化すようにヘラヘラと笑う。
聞いたことがある。ドナー待ちの患者は大勢いて順番待ちだとか。その上、条件の合うドナーがなかなかいないとか。
おそらく若い医者が言うように、ツキミちゃんにとって私の出現は奇跡だったに違いない。
でも、やっと両親や姉の気持ちを知った――ん……? 知ったのはこういう状態になったからで……もし、こうなっていなかったら私は以前のままだったかもしれない。だったら……良かったのか? いや、死んだら元も子もないからダメでしょう? そうか、これが本当の後悔先に立たずだ。

(それならやっぱり、せめて叶う人の夢を叶えてあげよう!)

使命感がメラメラ湧いてくる。
私が魔法使いになる! 叶える相手は……葵宇宙の家族。ツキミちゃんが元気になることがあの家族の願いだ。
でも、姉に説得を頼んだが、あの両親だ。あまり当てにできない。
やっぱり自分でなんとかしなければと思っていると、ガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきた。

「だから、透子が枕元に立ったんだって!」
「透子が触れたんだ、私のこの手に!」
「何を言っているの! 縁起でもない!」

姉と父の声に続いて母の怒りの声が聞こえた。