後で知ったのだが、この学校には要所要所に防犯カメラが取り付けてあるそうだ。
心の声が届いたわけではなく、警備員がカメラに映る少年に気付き、校医と職員に連絡を入れ、三人が駆け付けたということらしい。
「あれ? もう見つかっちゃったの」
悪びれた様子もなく男子生徒が肩越しに振り向いた――途端、私は目を見張った。
稀に見ぬイケメンだったからでもあるが、なぜか心臓の鼓動が激しくなったからだ。こんなにドキドキしたのは生まれて初めてだった。
(これはいったい?)
混乱しながらも物陰から成り行きを見守っていると、「君、新入生だろ?」と校医が尋ねた。
「そうですよ」
ああ、と気付く。彼も防犯カメラの存在を知らなかったから、こんな大胆な行動が取れたのだと。
「苦しい受験を乗り越え、やっと合格したのに、どうして自殺なんて」
「自殺? 誰がですか?」
女性教諭の質問に、驚いたように男子生徒が問い返した。それに対して「君だ!」と声を荒げ答えたのは警備員だった。それを女性教諭が目で諫める。
「心外だなぁ。僕、自殺なんてしませんよ」
「あっ!」と校医が小さな声を上げ、「もしかしたら……君、葵宇宙君?」と問うた。
心の声が届いたわけではなく、警備員がカメラに映る少年に気付き、校医と職員に連絡を入れ、三人が駆け付けたということらしい。
「あれ? もう見つかっちゃったの」
悪びれた様子もなく男子生徒が肩越しに振り向いた――途端、私は目を見張った。
稀に見ぬイケメンだったからでもあるが、なぜか心臓の鼓動が激しくなったからだ。こんなにドキドキしたのは生まれて初めてだった。
(これはいったい?)
混乱しながらも物陰から成り行きを見守っていると、「君、新入生だろ?」と校医が尋ねた。
「そうですよ」
ああ、と気付く。彼も防犯カメラの存在を知らなかったから、こんな大胆な行動が取れたのだと。
「苦しい受験を乗り越え、やっと合格したのに、どうして自殺なんて」
「自殺? 誰がですか?」
女性教諭の質問に、驚いたように男子生徒が問い返した。それに対して「君だ!」と声を荒げ答えたのは警備員だった。それを女性教諭が目で諫める。
「心外だなぁ。僕、自殺なんてしませんよ」
「あっ!」と校医が小さな声を上げ、「もしかしたら……君、葵宇宙君?」と問うた。