「おっ、美味そう! 話は食べてから!」
元気よく「いただきまぁーす」と両手を合わせ、葵宇宙はセットのサラダを食べ始めた。まるで話を有耶無耶にするように……。
「食べる前に一言だけ言っておくわ」
だが、彼女は誤魔化されない。
「誰でも幸せになる権利があるの。宇宙が幸せでいることは、私の……強いては亡くなった姉さんの幸せでもあるの。それを否定するような言い方はしないで」
そう言いながら彼女はスープの入ったカップを手に取った。
「本当、姉さんと容姿も性格も同じなんだから。もっと図太く生きなさい」
ブチブチと文句を吐き出しながら、「あら、このスープ美味しい」と頬を緩める彼女に、「怒りながら食べると消化に悪いよ」と葵宇宙が忠告する。
「貴方が怒らせるようなこと言うからでしょう」と腹立ち紛れにスープを一気飲みし、思い出したように、「ところで、今日、私に会ったことは内緒ね」と言った。
「どうして?」
「義兄さんがいい顔しないのよ。年々、距離を置かれているわ」
先妻の妹と息子。その二人が今も仲が良い――なるほど、分からなくもない。
「香苗さんはよくできた人だから、気にしていないと思うけど……」
「ツキミのこともあるから、義母さんの心労を増やすな、と言うことか」
おそらくね、と彼女は頷いた。
元気よく「いただきまぁーす」と両手を合わせ、葵宇宙はセットのサラダを食べ始めた。まるで話を有耶無耶にするように……。
「食べる前に一言だけ言っておくわ」
だが、彼女は誤魔化されない。
「誰でも幸せになる権利があるの。宇宙が幸せでいることは、私の……強いては亡くなった姉さんの幸せでもあるの。それを否定するような言い方はしないで」
そう言いながら彼女はスープの入ったカップを手に取った。
「本当、姉さんと容姿も性格も同じなんだから。もっと図太く生きなさい」
ブチブチと文句を吐き出しながら、「あら、このスープ美味しい」と頬を緩める彼女に、「怒りながら食べると消化に悪いよ」と葵宇宙が忠告する。
「貴方が怒らせるようなこと言うからでしょう」と腹立ち紛れにスープを一気飲みし、思い出したように、「ところで、今日、私に会ったことは内緒ね」と言った。
「どうして?」
「義兄さんがいい顔しないのよ。年々、距離を置かれているわ」
先妻の妹と息子。その二人が今も仲が良い――なるほど、分からなくもない。
「香苗さんはよくできた人だから、気にしていないと思うけど……」
「ツキミのこともあるから、義母さんの心労を増やすな、と言うことか」
おそらくね、と彼女は頷いた。