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悶々としている間に粛々と授業は進み、いつの間にか放課後になっていた。今日の葵宇宙は……真っ直ぐ家に帰るようだ。足が自宅に向かっている。

「宇宙！」

見上げるほど高い門の前に一人の女性が立っていた。とても綺麗な人だ。その女性が満面の笑みで葵宇宙の名を呼んだ。

葵宇宙も笑っている。驚いたことにそれは初めて見る素の笑顔だった。

（彼をこんな顔にさせるこの人は……何者？）

「美雪叔母さん！　どうしたの、急に？」
「仕事で急遽帰国したの。で、大切な甥にまず会いに来たというわけ」

美雪叔母さんという人が葵宇宙に抱き着きギュッとハグする。彼も彼女の華奢な体に腕を回して抱き返す。
その光景を見た途端、胸がキリリと痛んだ。

「ちょっと出られる？」

胸の痛みはすぐに無くなったが……さっきのアレは何だったのだろう？

「香苗さんは病院？」
「うん、ずっと詰めてる」

彼女は彼を伴い、近所のカフェに入った。私もコッソリと付いていく。