(母親が言うように、父親がとんでもなく美しいのだろうか?)

それにしても……と三人の様子に目を細める。

(両親と二人の子……)

我が家と家族構成は同じだが、彼らは本当に仲が良い。我が家とは違う温かな家庭の様子に胸が詰まる。

うちがあの状態になったのはいつからだろう……?
父が専務に昇進した時から?
母が教育評論家としてテレビに出始めた時から?
姉が名家に嫁いだ時から?

(いや違う!)

私が中学受験に失敗した時からだ。
それを挽回するために、私は全てを犠牲にして必死に勉強した。

(でも、それももうおしまい!)

姉と同じ高校に合格したのだ。家族だってきっと認めてくれる。

「で、お兄ちゃん、彼女できそう?」
「何だよ、いきなり」
「だって、どう考えたって普通は嫌でしょう? 自分より綺麗な彼氏って」

しみじみと言う妹の言葉に、うんうんと頷く私がいる。

「ほっとけ」
「またぁ、そのうちオジジになって、孤独死するんだよ」

妹の言葉をフンと鼻であしらい葵宇宙がニッと笑った。