「フグみたいだぞ」と笑いながら葵宇宙が頬を押すと「もう!」と妹は怒り出した。

「宇宙、ツキミ、いい加減にしなさい」

二人を叱りながら母親はうさぎリンゴの載った皿を差し出した。それを一つ失敬する葵宇宙。

「うまっ、ツキミも早く食べてみろ」
「本当、お兄ちゃんって残念なイケメンだね」

ワザとらしく溜息を吐く妹に、葵宇宙はフンと鼻を鳴らす。

「言っておくが、僕はイケメンと言われたことはない。美人なんだそうだ」
「それって自慢になるの?」
「パパとママの子だから宇宙もツキミも美人に決まっているじゃない」

母親の言葉に妹が笑い出す。

「ママってナルシスト?」
「あら、当たり前のことを当たり前に言ったらナルシストなの?」

フフンと胸を張る母親を、兄妹は呆れ眼で見つめる……が、違和感?
確かに母親は可愛い系の美人だ。妹も母親に似てとても可愛い。だが、葵宇宙の美人度はそれをはるかに超越していた。