帰ってきた科学者が最初に目にしたのは、血の海に横たわる恋人だった。直ぐに恋人の側に駆け寄った科学者だったが、恋人は既に息をしておらずお腹の中の子も亡くなっていた。

恋人を殺した犯人は直ぐに見つかった。犯人は隣の家に住む老人だった。彼は科学者の恋人に恋をしていたのだ。

しかし彼女には愛を誓いあった科学者がいた。恋人の心が自分に向くことはないと考えた彼は、彼女が自分の物にならないのなら、いっそのこと殺して一緒に天国へ行こうと考えた。その悲劇が全ての始まりだった。

科学者は彼女の亡骸を大切に保管していた。しかし時が経つにつれ、恋人の体は朽ちていった。

そんなある日、科学者は恋人をもう一度生き返らせるため、人造人間(ホムンクルス)の実験を始めた。

人造人間の実験に没頭していた科学者は長い年月をかけて、心と感情を持たない人造人間を初めて生み出したのだ。

彼女が帰ってきた。これでまた前のように一緒に楽しく暮らすことが出来る。そう科学者は信じていた。

しかし恋人は人造人間だ。心と感情を持ち合わせていないただの生きる屍だった。

科学者は更に研究に没頭した。完璧な恋人を取り戻すために。その実験のせいで、何体もの人造人間が生み出された。

科学者は失敗した人造人間を使って、恋人に似た容姿を持つ女性たちを殺し周らせた。

そしてその肉体を使い新たな人造人間を生み出し続けた。しかし科学者は恋人を取り戻すことは出来なかった。

人造人間の実験のことが警察に見つかり、科学者は殺人容疑で逮捕され死刑にされてしまった。