「ソフィア!」
 
気を失ったソフィアの体をサルワは丁寧に扱うように抱き上げた。

そんなサルワに俺は手をかざす。

「それ以上近づいたらどうなるか分かっているよね?」

「くっ……!」
 
サルワがここに来ることは予想外だった。まさか俺たちがここに来るって分かっていたのか?

「サルワ。お前たちは集めた雫を使って、ヴェルト・マギーアを完成させようとしているんだろ?」

「ああ。ヴェルト・マギーアを完成させ新たな世界を創造するんだよ」

「っ!?」
 
ヴェルト・マギーアを使って世界を作り直すのかと思っていたけど、まさか新しい世界を創造しようとしているなんて。

「何の為に世界を創造する!? なぜソフィアの雫が必要なんだ!」

ヴェルト・マギーアを発動させる器として、ソフィアの肉体が必要なのかと思っていた。

しかしサルワはソフィアの雫を欲しがっている。サルワには他に狙いがあるのかもしれない。
 
俺の言葉にサルワは目を細めた。

「彼女の雫が【鍵】だからだ」

「鍵……だって?」
 
サルワの背後に扉が現れる。

「彼女の雫と力は世界を破壊する程のものだ。それなら世界を創造することだって出来るはずだ」

「そんなこと絶対に成功するっていう保障はない!」

「いや、必ず成功する」
 
サルワは自分の手のひらを見つめた。

「私は今までヴェルト・マギーアを完成させる為だけに、研究を続けてきたんだ。その結果……」
 
サルワは抱き上げているソフィアを見下ろした。そんなサルワに俺は魔力を集中させる。