途方に暮れながらお使いを済ませ、結守神社へ帰ってきた。

 肩を落としながらとぼとぼと参道を歩く。


 葵の願いが、頭から離れないでいた。


 どうしたら葵を助けてあげれるのだろう。

 最近知ったばかりの自分の力、そんな状態の私が、葵の願いを叶えてあげられるのだろうか。

 失敗すれば、もしかしたら葵が傷付くかもしれない。


 頭の中がぐちゃぐちゃで、自然と顔が険しくなる。

 その時。


 「おい、そこの鬼のような顔をしている娘」


 突然どこからか声が聞こえて、はたと足を止める。


 「そうだ、お前だぞ、小娘。ちょっと待て」


 また声が聞こえて勢いよく振り返る。しかしそこには誰もおらず、あるのは二体の狛狐だけ。