息を飲めば、少女は深い溜息を零した。
「結守は妖と交流のある神社ではないのか? 最近の巫女はなんて情けないんだ」
呆れたように肩を竦めた少女は天狗面に手をかけると、それをゆっくりと上にずらす。
面の下から現れたのは、目鼻立ちがはっきりとした高校生くらいの少女の顔だった。
少女は私に手を差しだす。
「天狗の一族は人間を取って食ったりしない。安心しろ」
続けざまに、「転ばしてしまって悪かったよ」とばつが悪そうくちびるを尖らせる。
少女の顔と差し出された手を見比べていると、しびれを切らしたのか私の二の腕を掴み、無理やり立ち上がらせた。