袋詰めの作業がひと段落着いた頃、言われた通りに巫女装束の上から上着を羽織り、マフラーと手袋できっちり防寒してから外に出た。
太陽は出ているが風が冷たく、肩を竦めながら歩く。
しばらく河原沿いを歩いていたら、丁度昨日、手ぬぐいを拾った場所を通った。
そう言えば、と辺りを見回す。
すると案の定、昨日の手ぬぐいの男性が岩に腰掛け川を眺めている。
しかし今日はその隣に、寄り添うように誰かが座っていた。
けれどその背中はやはり寂しげで、思わずその背中をじっと見つめる。
視線に気が付いたのか、男性がふと振り返る。眼鏡の奥の目を丸くすると「君は昨日の」と呟いた。