お財布は居間のテーブルの上にあるからといいながら、駆け足で出て行った三門さん。

 遠ざかって行った足音が、数秒して戻ってくる。


 「温かくして外に出ること、いい?」


 顔だけ覗かせた三門さんに、小さく笑いながら頷く。

 安心したように微笑んだ三門さんは、また急ぎ足で出て行った。