その時、木箱から容器がひとつ転がり落ち、私は手を伸ばしてそれを拾った。
じいっとそれを見つめていると、それに気がついた三門さんがすかさず説明してくれる。
「これは結紅って言って、うちだけが授与している良縁を運ぶ口紅だよ。ユマツヅミさまの神話に基づいて作られてるんだ。鎮守の森に生えているクロガネモチの実が混ぜられているんだ」
へえ、と目を丸くしながらひとつ手に取る。
容器に描かれた狐の顔はどことなく、狛狐のふくりとみくりに似ている気がした。
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