急いで下がって棚の中を探すと、狐の顔が描かれた手のひらサイズの丸い容器がたくさん入った木箱を見つける。それを両腕に抱えて戻る。
「ありがとう、参拝者さんの前に置いてね」
言われた通りにそっと置けば、「可愛い!」と歓声が上がる。
「おひとつで千円お納めいただいておりますので、二千円お納めください。どうぞお好きな狐さんをお選びくださいね」
楽しそうに吟味した女性たちは、気に入った一つを大切そうに胸の前でもち、私たちに頭を下げると笑顔で歩いていく。
「ようお参りでした」
小さく頭を下げた三門さんに習って、私も頭を下げた。
女性たちの姿が見えなくなって、三門さんがくるりとこちらに向き直る。