「もしかして、言霊の力のことが知りたいのかな?」

 「な、んで……」


 無意識にそう呟き、はっと口元を押さえた。


 「なんで、かぁ……。僕も麻ちゃんと同じだった時期があったから、かな」


 思わぬ返答に目を瞬かせた。


 「麻ちゃんと同じようにこの力の恐ろしさを知って、全く話せない状態が一年続いたんだ。だからなんとなくだけど、麻ちゃんの言いたいことが、分かる気がするんだ」


 眉を下げて肩を竦めた三門さん。眉間に皺を寄せていると「そんな顔をしないで」と、困ったように笑う。


 「今では、そのことに気が付けて良かったと思ってるんだ。過去には、最後まで気が付けないで、悲しいことになってしまった人もいるんだよ」