ばくん、ばくん。心臓がうるさい。

 お腹が、今まで以上に熱い。意識が遠くなる。


 「お、お母さん……」


 歪んでいく視界の先で、お母さんが私を見ているのが分かった。


 まるで化け物でも見たような恐怖と憎しみに染まった目で、私を睨みつけていた。


 助けて。怖いよ、お母さん。


 伸ばした腕は届くことなく、冷たい手に振り払われた────。