瞬きもしないうちに何かを叩きつけるような大きな音が鳴って、目を見開き固まる。

 机の上に置いていたはずのペン立てが、カランコロンと私の足元に転がってきた。


 数秒して、お母さんは悲鳴を上げて崩れるようにその場に座り込む。

 お母さんが立っていた半歩隣の木のドアに、カッターナイフとはさみが刺さっていたのだ。


 「────え」


 な、に。今のは。


 ダーツを投げた時みたいに、ペン立てにたてていた文房具がドアに突き刺さっている。


 触ってもいないはずの文房が、私が「出てって」と言った瞬間、まるで強い力で投げられたように、お母さんの方へ────。