三門さんから手紙が届く二か月ほど前に、大好きなお祖父ちゃんが亡くなった。

 肝臓が悪く何度も入退院を繰り返していたお祖父ちゃんは、最期は病院のベッドで静かに息を引き取った。


 お母さんに怒られたり、学校で嫌なことがあった時には、真っ直ぐ家には帰らずにお祖父ちゃんの家へ寄り道をして、よく話を聞いてもらった。


 私を抱きしめるしわくちゃで温かい手、眠った私を負ぶってくれる丸まった大きな背中。


 それらが突然目の前からなくなって、まるで心にぽっかりと穴が開いたような喪失感と深い悲しみだけが残った。