緊張でばくばくと波打つ鼓動を感じながら、ひとつ頭を下げる。
目を弓なりに細める三門さんのその服装に、私は目を瞬かせた。
よく神社で奉仕している人が来ている水色の袴に白衣、足袋に草履を履いていた。
「あ、この服装? そっか、最後に会ったのは麻ちゃんが五歳だったから、覚えていないよね」
私の視線で気がついたのか、水色の袴を摘んで少し照れくさそうに頬をかいた三門さん。
「僕ん家、神社なんだ」
もっと目を丸くすれば、三門さんは「前もって言わなくてごめんね」と肩をすくめる。
慌てて首を振った。
「それじゃあ、とりあえず行こうか」
私の手からキャリーバッグを取った三門さんが歩き出す。
慌ててその背中を追いかけながら、用意していた言葉を頭の中に思い浮かべる。