フラッシュバックするのは、私を化け物でも見たかのように怯えた目で睨む目。
止まったはずなのに、また手先が震えだす。唇を強く噛み締めたその時、三門さんが私の手にそっと己の手を添えた。
「『大丈夫、大丈夫』。落ち着いて麻ちゃん。何も怖がらないでいいんだ」
触れられた手が温かくなっていく。
「僕も麻ちゃんと同じなんだ、麻ちゃんと同じような力を持っている」
その言葉に、弾けるように顔をあげる。
いま、三門さんはなんて言った? いま、「僕も麻ちゃんと同じ」って。
「代々結守神社を継ぐ巫女や神主は、言葉に宿る力────つまり、『言霊』の力がとても強いんだ。僕が強い想いを込めて発した言葉は、文字通り『言葉通り』になる」