勝手知ったる手際で社務所のガスコンロでお茶を淹れたおばあさんは、「さ、これでも飲んで落ち着きな」と私に湯飲みを差し出した。
小さく頭を下げて受け取れば、すっかり冷え切っていた手先がじんわりと温まる。
よっこらせ、と私の隣に腰を下ろしたおばあさんは、自分の分の湯飲みを煽った。
「どうやら三門の坊やは、麻に何も話していないようだねえ。全く困ったもんだ、神主としては立派になったけれど、他のことになるとどこか抜けておる」
孫の話でもするように、柔らかい表情のおばあさん。
「ああほら、噂をすればなんとやら。三門の坊やが戻ってきたよ」
そう言った三秒後、社務所の扉ががらがらと開いて三門さんが顔を覗かせる。



