車窓から見える鎮守の森がどんどん小さくなっていく。私はそれを眺めながら、昨日からずっと考えていたことをふたりに話した。


 「そっか、いいんじゃないかな。麻も、来年からはもう高校生だし」


 ハンドルを切りながら笑ったお父さんの二の腕を、お母さんが軽く叩く。


 「ちょっと! 何でもかんでも直ぐに賛成しないで。あなたは麻にはとことん甘いんだから。とりあえず、帰ってからちゃんと話しましょう。三門くんにも連絡しないといけないし」


 呆れたようにそう言ったお母さんは、お父さんにぶつぶつと文句を言い始める。ごめんてっば、と肩を竦めるお父さんに、思わず笑ってしまった。


 ふたりとも反対はしていないようなので、ほっと息を吐く。これからに思いを馳せながら、どきどきと高鳴る胸をそっと押さえた。


【二巻へつづく】