気が付けば、この神社が、妖たちが、とても大切な存在になっていた。そして彼らを導く三門さんの姿はとても格好良くて、私も少しでもそんな人になれたらいいなと思った。
傷つけることしかできなかった言霊の力を、今度は誰かのために使いたい。
気が付けばそう願っていた。
「そっか。なら、結守神社はいつでも麻ちゃんを歓迎するよ」
「え?」
「お母さんから逃げるための口実ならお説教していたところだけど、麻ちゃんの口からそれが聞けて良かった。それなら、僕はいくらでも協力する。いつでも帰っておいで」
帰っておいで、という言葉を選んだ三門さんに思わず笑みが浮かんだ。
「────はい!」