「元気でね」
「まあ、なんだ。上手くやるんだぞ」
うん、と頷いてから二匹を放す。これ以上抱きついていると離れがたくなってしまう気がした。
三門さんが先に歩き出す。その背中を追いかける前に、もう一度振り返って社を眺めると胸がいっぱいになって、きゅっとく唇を結び走り出した。
階段を降りていく。鳥居が見えて、そばに止めてある車のそばで、大輔おじさんがお母さんたちと話している姿が見えた。
私はふと足を止めた。
「三門さん」
先を歩いていた三門さんが不思議そうに振り返る。ん? と首を傾げて私を見上げた。
「私、もう少しここに居たかったです」
鎮守の森を見渡しながら呟くようにそう言った。
「それは、どうして?」
「自分の力のこと、妖のこと、この神社のこと、もっと知りたいんです」