彼らは、お母さんに手紙を書きたかったらしい。文字の手本を私が用意して、それをみんなで協力しながら紙に書こうとしているのだ。
勿論快諾した。
丁度そこにあった硯に墨を磨ってやると、興味深げに彼らがそれを覗き込む。悪戯好きな一匹が、他の家鳴の背中を押して墨の中に突き落とす。何が起こったのか分かっていないのか、頭から真っ黒になったその一匹が目をぱちくりとさせて、家鳴たちはきゃいきゃいと声をあげて笑った。
「こらこら、遊ばないの。あ、君はそこから動かないでね、机が真っ黒になっちゃうから」
真っ黒になった家鳴が素直に硯の上にちょこんと座ったのを確認してから、他の家鳴たちに視線を移す。すると、一番近くにいた二匹が私の二の腕を突いた。
ふたりは顔を見合わせると、小さな手を伸ばしてむぎゅっと抱きつく。そしてお互いに頬擦りをすると、今度は両手を口に当てて「ちゅっ」とそれを投げ合う。
か、可愛いすぎる……! って、それどころじゃなくて。