すこし乱暴な手つきで頭を撫でられて、梳いたばかりなのにぐしゃぐしゃになってしまった。もう、とわざとらしく頬を膨らませてお父さんから離れる。
もう寝なさい、と言われて、今日は素直に返事をした。
最後にお休みの挨拶をしようと振り返ったその時、お父さんの髪に燃えるような赤毛が混じっているのに気が付いた。
「お父さん、赤いのついてる」
このへん、と自分の頭を擦ってみると。お父さんは首を傾げながら同じところを擦った。
その時、きゃいきゃいと驚き慌てふためく小さな声が聞こえた。お父さんが頭を撫でる手の隙間から、家鳴が必死な顔で手を伸ばしている。
ぎょっと目を丸くして「お父さん私がとるから動かないで!」と叫ぶ。かみのけに絡まった家鳴を救い出し、不自然にならないようにさりげなく掌で包んだ。
「じゃ、じゃあおやすみなさい」
「うん、おやすみ」
手をひらひらとさせたお父さんに見送られて今を出る。足音を立てないようにすり足で廊下を歩き、自分の部屋に飛び込んだ。



