あやかし神社へようお参りです。



 「はじめは信じられなかったんだ。だからその夜、泊めてもらっていた部屋を抜け出して、真夜中の二時に外へ出たんだよ。そしたら、やっぱり何にもなかった」


 お義父さんがそんな嘘をついたことにちょっとがっかりして、でも少し怖い気持ちもあったからちょっと安心して。

 そう続けたお父さん。


 「それで、さあ戻ろうって振り返ったその瞬間、目の前に光がぶわっと飛び込んできたんだ」


 子どものように目を輝かせたお父さんは、その時に見た光景をとても詳しく語った。
 提灯の光が怪しく揺れていて、その下には奇妙で不思議な屋台が立ち並んでいた。干した蛙やトカゲを売る屋台には角の生えた赤鬼が、甘酒の入った寸胴を置いた屋台にはお歯黒を付けた和服の女が、見たこともない動物が足のそばを駆け抜けていき、参道を歩く人たちは顔が牛だったり獣耳が生えている。

 瞬きをした瞬間、それはまるで夢のようにぱっと目の前から消えていったんだ、と。

 お父さんは目を閉じた。