「麻には、お父さんたちとは違って、不思議なものが見えるんだね」
一瞬、何を言っているのか理解できなかった。ワンテンポ遅れて頭が追い付き、すると今度は混乱と驚きで頭の中がぐちゃぐちゃになる。
「お、お父さん、あの、えっとだから……」
「お義父さんから、全部聞いてるんだ。裏の社、だったかな」
今日の天気は午後から晴れだよとでもいうかのように、さらりと言った。
「え、でも、お父さんは見えないのに」
「そうだね。でも、お母さんを大切に育ててくれた人が、真剣な目をして話してくれたことだから。疑うことなんかしなかったよ。……いや、ちょっとは疑ったけど」
べっと舌を出しておどけた顔をしたお父さんに、強張っていた頬が思わず緩む。気持ちに少しだけ余裕ができた。私が肩の力を抜くと、お父さんは目じりを下げた。



