何を言えばいい? 何を言えば正解なの?
もし、もしも正直に話したら、お父さんはきっとあの時のお母さんと同じ反応をするに違いない。ひとを傷つけてしまう力を持った私を、きっと私を恐れるに違いない。
分かっている、傷つけるだけがすべてではないこと。ひとや妖を導く力があること。でも私はこの力で、お母さんを傷つけてしまったことしかないのだ。その事実は思った以上にも、まだ深くのしかかっていた。
唇を噛み締めて俯く。どうしてもお父さんの目を見ることができない。
その時、ふっと空気が緩む感覚が分かった。恐る恐る視線をあげると、お父さんがいつもと変わらない穏やかな笑みを浮かべている。
「……お義父さん、麻のおじいちゃんがね。お父さんたちが結婚の挨拶をしに来たときに、特別なことを教えてくれたんだ」
突然話し始めたお父さんを困惑気味に見つめる。
「お母さんは隠したがっていたから、お父さんは知らないふりをしているんだ。だから、内緒ね」
しい、と人差し指を立てて微笑んだお父さんは、私の目を見た。



