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「────そう、だったんだ」
目が覚めて、布団から起き上がると同時にそう呟いた。
また夢を見ていた。誰かの面影がある“真由美”と言う少女は、間違いなく私のお母さん。あれはお母さんの思い出の夢なんだ。
そして、家鳴の『なな』と言うのは、数字の七でも誰かの名前でもなかった。彼らは拙い言葉で、『泣くな』と伝えったかったのだ。
泣くな、泣くな、と少女だったあの頃のお母さんを励まそうとしていたのだ。
いてもたってもいられずに起き上がる。その場をうろうろして考えがまとまらずに、頭を抱える。すっかり目が覚めてしまい、仕方なく上着を羽織ると裁縫箱を持って部屋を出た。



