ぷしゅう、と後ろで扉が閉まる音がして、列車がゆっくりと動き始める。

 徐々に小さくなっていく列車を見送って、重いキャリーバッグを転がしながら歩き出した。


 酷く寂れた無人駅は、私以外誰も下車した人はおらず、冷たい風に吹かれた枯葉がひび割れた床をカラカラと転がっている。

 「ようこそ、おもてら町へ」と書かれた横断幕は、至る所が解れ破れていて、さらにインクが滲んでおどろおどろしい。

 本当に歓迎する気があるのか微妙なところだ。



 急に不安が胸の中に広がり、怖々とあたりを見回しながら足早に駅を出た。