涼しげなつり目で私を一瞥すると、横をするりと通り抜けて中へ入っていく。
「青女房さん、交代の時間です。追加は御守りだけで良いですか」
「篠! 助かったよ、もう日が眩しくて眠たくて腹が減って仕方なかったんだ」
口に手を当ててくすりと笑った篠は青女房と場所を変わる。幕の後ろに戻ってくるなり、大きく伸びをした。
「篠が来たし、私は帰るよ。麻は篠の隣で神籤を手伝ってやって。一回二百円収めてもらうだけで、後は参拝者に紙神籤をを引いてもらうんだ。簡単だろう?」
ひとつ頷いて、青女房に短く挨拶を述べると、もう一度幕をくぐった。
慣れた手つきで対応している篠に遠慮気味に話しかける。
「あの、私は」
「隣の椅子を使って下さい。あとは青女房さんから聞いた通りです」
私の言葉を遮って、淡々とそう言う。何とも言えない気持ちで頷き、篠の隣に置かれたパイプ椅子に腰を下ろした。